DOKKINKIN TV PRODUCTIONS       動画配信に関する企画書

HongKong Oct 2018 雨傘運動直前の香港

写真を撮り歩く活動も楽しいのだが、映像にしてみたいと思ったのは過去の記録を見ると、映像制作用にカメラを新調したのが2017年の10月頃だった。購入したのはLumixのGH5で当時は(現在もだが)映像を撮るカメラとしてはこれの使い勝手が一番良かった。カメラに関しては何とか10年くらいは食いついてきたが、最初の頃に比べると少しはマシになってきたような程度だ。映像は最初、何をどういう風に撮っていいのかもわからず、それは今も思考錯誤して撮って編集している。2017年頃からYoutuberが色々と登場してGH5を使用している人は多かった。やはり自撮りしやすいし、4Kでも撮影できてフレーム数も多く撮れる。

自分の場合は、何故映像を撮るのかと聞かれるが、始めは旅の記録を何かに残せないのか、旅の素晴らしさを伝えたい等あった。旅ばかり行っていると何というか観光というものに飽きてくる。毎日観光するということは受け身であって、やはり人は自分から何かを生み出すという作業がなければ生きていけないのだ。そう気付いたこともあり、もともと音楽と映画に傾倒していた身としては、見る風景や通り過ぎる人の表情が映画のように見えるようになってくる。そこにイヤホンから入る音楽があれば尚更それは増長する。それが海外という環境であれば、かなり面白い映像になるのではないだろうかと思い始めた企画だ。

しかし、ネーミングが酷い。いつか必ず後悔すると思っていたが、(2018年4月にDOKKIKIN TV香港編の動画を始めている)実際そうなった。このネーミングだと人に真面目に話すときに非常に伝えづらい。何故こんなネーミングかという理由は、センスのあるネーミングにしてしまうと、あまりブラックユーモアのない映像になってしまうと思い、このネームが映像の中にあればそうそうカッコよくはならない、もともとブラックユーモアのある映像を作りたい自分としては活動する上で道を外すことのない黒いネーミングかと思った。そしてこのネーミングは20代の頃に様々なミュージシャンの前説をステージでやってきた時の名残であって(漫才コンビであった、’’おばけえんとつ’’でよく使っていたギャグ。相方は音楽ライターのフジジュンで、当時周りの人達は出版社のオリコンで働いていてよく一緒に遊んでいた。)それは一つの自分の中の活動としては、同時進行でDJ活動もしていたので、映像としてはそのブラックユーモアと音楽の混ざった感覚は今も同じなのかと今この時になって思った。

それと始めるきっかけを与えてくれたのがRichie Oillyという映像作家。

彼の映像を見て自分も作りたいと思った。今でも参考に見ているが、いつになったらこんな叙情的な映像を作れるのだろうか。こうなってくるとキャストが必要になってくる。なので日々キャストは探しているつもりだが。

音楽はテクノミュージックにした。自分の映像は何回も繰り返されるべきだと思ったからだ。最後は電源を切れば終了する、そんな映像、ミニマルというのは所謂永遠なわけで、止まらない。一生踊り続けていたい自分と一生移動し続けたいという気持ちの融合。何のために生きているのかいえば、僕等は快楽のために生きているのだ。

Youtubeの説明欄には社会科見学派カメラマンDOKKIKIN TVによる、世界を踊りながら撮影した記録と書いた。皮肉めいた笑いと熱狂的な音楽、それを世界の中で鳴らしたいという衝動。そして今はパンデミック最中。一番最近配信した映像はスウェーデンのストックホルム編。その後、2019年の10月ジョージアで撮影して以来、主だった撮影はできておらず、ジョージア編の制作も始まってはいない。これは24フレームで撮影してある。

パンデミック過日、いや果実なのだろうか。今のそれはまるで戦時中であり、コロナが収束しパンデミック後の世界を撮りたいと思っている。この冬到来の大空襲の後、来春には世界は焼け野原状態になっており、そんな状況下の真只中、自分は興奮している。僕は今まさにその映像が撮りたいのである。

もはやこうなると映像制作がもはや、かっこいいとか悪いとか、旅の映像とかいった話ではない。唯々、この移ろいゆく世界を、その現実を撮るのみだ。僕は平和を謳い戦争に反対する気など全くといっていいほどない。戦争などはいつの間にか勝手に起こるものだし、パンデミックも同様、政治家だろうが誰にもどうする術もない。僕達は生き残るために逃げ回るしかなく、運が良ければかすり傷一つもなく済む。僕は世の中をそういうふうに考えている。

以上が映像に関する企画書だ。これは計画書なので世界の状況や自分の精神状態によって変わっていくとは思うが、その時はもう一度この企画書を読むことにしよう。自分は戦場という状況にいることからブレないようにするために。

龍景軒
重慶大厦 Chungking Mansions

二拠点生活

都内にいる友達夫妻が自分の家の近くにログハウスを購入したということで行ってきた。ログハウスは茨城県の田舎の風情と自然が残っているところにある。

友達夫妻は都内に住んでいるのだが、週末のみここに子供と滞在しているそうで2拠点生活をするそうだ。軽井沢や逗子も考えたそうだけど、そっちは東京とあまりここに変わらないのでここに決めたそう。確かに茨城県は地域ブランドを気にしなければコスパがいい。

遊びに行くと雰囲気の良いログハウスで、ウッドデッキが設置してあってそこで食事をしたり、音楽を聴きながら珈琲を飲んでゆっくりできる最高のところだった。夜は焼肉とワインでずっと喋り通しで、気が付くと布団が敷いてあっていつの間にか 朝をむかえていた。このログハウスの朝がまた気持ち良くて、パンが焼かれていて、それの香りで起きて早朝もウッドデッキの椅子に腰かけて珈琲を飲む。

その後は近くの湖へ釣りに行ってからの、薪割り。今月は薪ストーブの設置工事をするそうで、それに使う薪割りをしたのですが、割れない薪は本当になかなか割れない。
ログハウス自体をリフォームしているところなので、たまに手伝いに行って、薪を割ったり、草刈りをしたり、木の剪定をしたり、所謂ガーデニングをしていく話になった。

それにしても、20代の頃からの友達だけど、数年越しに会ったり、都内にいる時に偶然近所に住んでいたり、今年になって何故かこんな近所に引っ越してきたりと人との距離や時間の間隔って意外と曖昧に引き合わされてる気にもなった。

2拠点生活は自分でも以前から考えてはいたが、自分の場合はもともと東京にいたときに、田舎へ戻ろうと仕事を辞めて東京を離れ、田舎で栄養士の学校へ行き、そこから海外留学や海外旅行も同時に行ったことがある。2年間の期間で、それが今までの人生の中で非常に忙しくも記憶に残る生活だった。

移住にも興味はあったのだけど、一か所や二か所に住むことを決めてしまうよりも、何も決めないで様々な場所へ住んだ方が自分の性に合うかと思っているのと、家のローン(いわゆる借金)や自宅(動かせない物という意味)というのが嫌いなので今のところ買うことはないだろう。動かしづらい所有物は今のご時世にはリスキーだ。なにぶん今はairbnbなどを使用すればあらゆる場所に滞在することができ、時代が流動化している今、自分のライフスタイルも身軽に流動化したほうが楽しいのではないか。

欠点としてはノマドは孤独だということ。それにはやはり家族がいるのといないとで変わってくるのだろうか。 今まで一人でいろいろなところへ行ってきたが、家族というものも良いものだなと考え方も変わってきたのは歳のせいだろうか。

ログハウスでの2拠点生活を楽しむ人たちが出てきたことで、家族でも理解しあえればこういう生活もできるのかと家族や夫婦に対する考え方も変わったし、おそらく人の思考も進化してそれが広まり、こういう生活をする人たちも増えていくのだろう。

二極化で思い出した「勝ち組負け組」という言葉

先日のニュースで日経平均株価がバブル後最高値更新、それと同じ見出しで国内の失業者数7万人という内容が書かれてあった。二極化した非常に不思議な現象だ。給付金やお金の使途がないため投資に資金が流れていてその反面、仕事は減り失業者は増加していくということなのだろうか。仕事はなくなっても残った資産はなくならないので、どこかへ吸い上げられていく。それが投資先だったのだろうか。今、仕事があって投資をしている人はまだいいが、投資をしていたが失業してしまった人は不安だろう。血を見るようなニュースも最近は多い。しかし、こういったパンデミック感染はいずれは終わりを向かえるので、平常を保ってしっかりと準備と対策をするしかないと思う。でも、どういうわけか、精神的に病んでしまい自殺を図る人が多い、特に日本では。とにかく真面目に考えすぎで、こうあるべきという価値観に縛らすぎて周りからも監視されているような社会なので、それに負けない強さを身に着けたほうがいいのだが、それもあまり深く考えると精神的に疲弊してしまう人もいる。おそらくは気にせず楽観的にいるのが良いと思うのだが。自分は楽観的に世間を斜めに絶望しながら人生を楽しむことにしているので、はっきり言ってこんな騒動で精神を病むことはない。確かに孤独になったり辛いことはあるとは思うが、それはいつの時でもあるものだ。世間にはこういった罠が色々と仕掛けられてあって、それに引っかからなければ良いだけなのだ。

話は逸れたが、二極化で思い出したのが10年ほど前に流行った「勝ち組負け組」という言葉。当時まったく日本人らしいと思った言葉だ。しかし勝ち組負け組の本当の意味がある。それは昔、何度も読んだジャズミュージシャンの菊地成孔の本にも書いてあり、

『流行語は大衆の中の強烈な心理的傾向を反映している訳で、批判したり称揚したりする性質のものじゃないが「勝ち組負け組」というのは痛々しすぎる。本来「勝ち組」とはブラジルの奥地で、第二次大戦での日本の敗北を受け入れず、日本が勝ったという妄想と共に暮らしている、多くは旧日本兵のことを意味し、僕はその奇妙な存在に対する奇妙な呼称(文字どおり中南米幻想文学的な)の言語感覚をとても美しいと思って子供の頃から愛してきたからだ。ついこの間までの日本人がポジティブシンキングだなどと言っていたので嫌な予感はしていたけど、強烈で分り易い、つまりはポップな勝利ばかりに人々はこれほど群がらなければならないほど、僕等は何に負け続けたのだろうか?敗北に対する病的な嫌悪傾向、勝利に対する病的な飢餓傾向はいつでもブルースの官能とユーモアを排除する、負けてみなって。悪くないから。』

この勝ち組と負け組は南米の例からすると実際には日本の敗戦を知り帰還した日本兵(負け組)が勝っているわけで、本来の意味は逆になっている。数年前から日本の勝ち組負け組だっていつかは逆転すると今日まで自分は信じてきた。そしてここにきて、色々な意味で過去に負け組と言われてきた人達が話題や脚光を浴びるような社会になってきてはいないだろうか、僕は少なからずそう思う。

負けは悪いことではない。それを咎める理由など全くないしそんなことは残酷すぎる。そんなことを気にして生活していれば命に関わる問題も出てくるのは当然の結果であり、もし現状の社会やパンデミックに精神を病むのであれば、こんなんものは悪い冗談のようなもので、もし現状を勝ちと負けに分けたいのであれば、ウィルスに感染して、若しくは金があるか金がないか、そんなことが原因で差別されるということならば必ず出口はある。自分を閉じ込めている蓋を外して自分を外に出せばいい。そうすれば負けられる。何か新しいことを始めて失敗するのは当たり前のことで、困ったときに人を頼るのも当然のことで恥ずかしいことなどない。

僕はこれから先も何度でも負けるつもりだ。

グレタ・ガーウィグの若草物語

今年は女優兼監督のグレタ・ガーウィグの映画をよく観ていて、最近の映画の中では個人的に非常に好きな作品。ニューヨークを舞台にした作品が多くて、内容や題材は監督で旦那さんのノア・バームバックやウェス・アンダーソンの流れに近いかな。最初は女優として映画「フランシス・ハ」で話題になっていたのだけど、初監督として作った「レディ・バード」という作品、アメリカの地方の女子高校生がニューヨークの大学を目指すが、それに反対する母親や家族との葛藤がありその中で成長していくグレタ自身を描いた自叙伝のような青春の内容で、これの評価が高くかなり気になっている監督でした。レディ・バードでは、ただのお洒落な映画ではなくなっています。

そこで今年になって公開したのが、なんと若草物語(Little Women)まさか若草物語を作るとは思わなかった。個人的に若草物語は好きで、過去にも色々と映像化されていて、ウィノナ・ライダーがジョーの役を演じていた作品もあった。そして、この若草物語(ストーリー オブ マイライフ)が非常に素晴らしかった。展開が過去と今とを行き来してスピード感もあり、そのままジョーの心の葛藤が最後をむかえて感動しました。

観る側としてはやっぱりみんなジョーという女性の生き様が好きなんです。そして今の技術で撮影すると時代の映像が物凄く綺麗に撮れていて風景や衣装も良かった。

この映画の評判を調べてみると、やはり宇多丸さんのサイトからなんですが、とにかく感想メールの量が多く、前評判が非常に高いということ。「語りつくせない。生涯ベスト映画になってしまった」「女性としてどんな人生も否定しない描き方に涙した。オールタイムベスト!」「ラスト、青春時代の終わりと孤独を噛みしめながら、ある行動に打ち込むジョーの姿に震えた」「150年前の原作を今に蘇らせたグレタ・ガーウィグ監督、おそるべし」賛否の比率は絶賛9割。やはり女性の投稿が多かったということです。ということが書いてあり、やはり絶賛されている作品でした。2作目でこんなすごい作品を作ってしまったグレタの今後には、「嵐が丘」も再映画化に取り組んでほしいとの声もあがってるそうです。

グレタの作品は「フランシス・ハ」でも「レディ・バード」でも描かれていたのは、アーティスティックな情熱をかかえつつ、何者かになろうともがく女性、ということなんだそう。厳しい現実に直面した時に人はどう動くべきなのか、ということを考えさせられて、まさに今の時代に観るべき映画でした。今年はグレタ・ガーウィグに一辺倒です。

宇多丸さんのサイト

https://www.tbsradio.jp/496014