【3月26日(木曜日)】
以前、パリを訪れた時に行ったレストランがあった。バスチーユ広場の近く、すこし路地を入った所にあるテラスを見れば店はすぐ思い出せた。カウンターに座り給仕の顔を見ると以前来た時と同じ男で、注文を取りにきた時に、数年前にここに来たことを話すと、あぁ、覚えてるよと言うので、本当に覚えているのかと聞き返すと、だってその同じ席に座って話したじゃないかと言った。その瞬間、まるでその時に戻ったような感覚になった。
4年ほど前、スペインからフランスへ鉄道や飛行機を乗り継いで来たのだが、当時は今ほど鉄道や格安航空での移動もそれほど馴染みがなく会話とともに苦労していた。スペインのマドリッドからバルセロナ、そしてボルドーからパリまでの移動は想像すると欧州遊泳のようで良さそうな響きだが、乗りたい鉄道も飛行機も日程や時刻が合わず、行き当たりばったりでマドリッドのアトーチャ駅のチケットカウンターの前で諦め顔でしばらくスーツケースの上に座って考え込んでいた。結局、マドリッドからボルドーまで行くのに一度パリまで飛行機で飛んで、そのパリからボルドーへ飛び戻り、ボルドーからパリまでTGVの列車に乗って移動するという行ったり来たりの旅路になってしまった。空港ではスペイン語も英語もろくに話せず、LCCのチケットも買い方がよく分からず今考えれば、予定も立てずによく移動していたものだ。
その旅が終わりに近づいた頃にこのレストランに入り、メニューに書いてあるフランス語を一つ一つ英語で説明してくれたのがこの彼だった。その時食べた料理が美味しく、珈琲を頼むと、今は昼だ、朝ではないとワインを飲まされ、見渡せば周りも皆酔っ払っていた。やっと目的地に着いて旅の最後に酒盛り場に到着したような感じだった。
当時は何か新しいことがやりたくて、この旅に出掛けたり英語の勉強をやり始めた時期だった。生活も何かが物足りなくて退屈していたのだろう。しかしそんなことはない、退屈などしていなかったのだ。これほど満たされていた時期は他にはない。 その男とまた4年後に会おうと別れた。今後の人生で4年ごとに数えると、このレストラン、パリに来ることは何度あるのだろう。彼に会える機会は一生のうち僅か数回しかないのだ。
バスチーユにあるレストランLA GAZZETTA
ランチはリーズナブルに食べることができる。
セットで19ユーロ。
この日のメニュー
-Assortiment D’entrees-
・Pizza alla marinara
・Crabe,gazpacho de puntarelle et ail des ours
・Pomme de terre,shintake et ceuf de truite
-Plats au choix-
・Rigatoni au ragout de volaille
・Ceuf poche et choux
・Poulpe,fenouil,orange et olives
・Coucou de Rennes,carottes,epinards et crème d’ail
-Formaggi-7€-
・Montasio,Monte Veronese,Ubriacato al Barbera
-Dolci-5€-
・Gateau a l’orange,Tarte aux pommes Canada,Soupe de poires et au lait
-Vins au verre-
・Blanc:Chablis 6€,Rouge:Causse toujours,Rouge de l’Herault 6.7€,Rouge:M.P.N rouge leger de la Drome 5€
-前菜の盛り合わせ-
・ピッツァ マリナーラ(トマト、アンチョビ、オレガノ、ニンニク)
・蟹とガスパッチョ、プンタレッレと熊のニンニク和え
・新竹とイクラとじゃがいものソース
-下記から一皿-
・鶏肉のスープパスタ
・キャベツとゆで卵
・ククーデレンネの鶏肉とほうれん草、人参、ニンニクのクリーム添え
昼間はRepublique駅界隈を歩く。雑貨屋、セレクトショップ、古着屋、レストラン等が賑わっており、一軒一軒見て回り、姪の土産にTシャツを買う。たまたまシャルリエブドの集会が行われていた公園があり集会が行われた後が残ったままだった。夜はオルセー美術館に行く。