ロンドン留学記とベルリンからパリへの移動の記録 3 【2015.3.12-2015.3.28】

【3月14日(土曜)】

この日ホテルからWest Brompton駅近くのホームステイ先へ移動することになっており、朝食は前日と同じものをホテルでとり、13時にホームステイ先にチェックイン。ホスト夫婦と面会し部屋に案内してもらう。土産に”水戸の梅”を持参した。食べられるのかどうか不安だったが美味しい言いながら全部食べていた。10歳の女の子と3歳の男の子もいて家族は4人。

ホームステイ先の自分の寝室。上下どちらのベッドを使用しても良いと言われる。
リビング 夜はサッカーのチェルシー戦を見ながらビールを注がれる。

自分の荷物を整理し、近所を散策する。この辺りは5分も歩くとチェルシー、ケンジントンという高級住宅街にあたる。ここはロンドン市内では格段に富裕層の集まる場所にあたり芸能人や官僚などが多く住む最も高級な地域。亡きダイアナ妃の旧住居もこのあたりにある。10日間の滞在だったので、観光も含め交通の便もよいこの辺りのホームステイを希望してみた。こういった世界の中でも高級な場所に滞在してその空気を味わってみることも良い経験になる。日本には階級制度など今ではもう無いに等しいが、ロンドンでは階級制度はまだ健在といえる。有名なキングスロードまで歩き遅い昼食。昔は若者がたむろしていた通りだったが今では高級ブティックが並んだ通りになっている。この辺りのレストランの見た目は普通のレストランだが高級店並の価格だ。

ホームステイ先の近隣 チェルシー

チェーン店のPret a Manger。どこでもよく見かける店で手作りサンドイッチのチェーン店でオーガニックを謳っている。インターネットwifiが使えるので滞在中この店は時々使っていた。サンドイッチとコーヒーで£5.25。味は美味しい。

Pret a Mangerのサンドイッチ。
キングスロード。無印良品の店舗もこの通りにあり値段は日本の倍。

夕食はホームステイ先での初の食事。毎晩7時頃に用意される。この日はチキンナゲットとポテトフライ。それにグリーンピースと野菜の付け合せ。パン。ペプシ。美味しいとか不味いとかではなく、これは冷凍のチキンナゲットとポテトフライなのでお腹にたまるだけの食事であった。イギリス人は食にあまり気を使わないということがよく分かったが、明日からの食事が少し不安に思われた。

ホームステイ先の夕食。ビールは毎晩注がれる。

【3月15日(日曜)】

朝食はセルフでキッチンにあるものを何でも食べていいと言われ、何があるかと見ると、食パンとコーンフレークと牛乳という質素なもの。家族がみんなコーンフレーク等をささっと食べてすぐ出かけるような毎朝だった。

日中はカンデムタウンという街で日曜日なのでマーケットが開かれておりそこへ向かう。色々な店が出ていて屋台もたくさんあった。中華の屋台で酢豚を買ったが失敗。不味い。ロンドンならではの適当な味付けの£6。少し気を抜くとこういう外れを引くのが海外なので、こういった失敗を繰り返すことにより良い店を見つける判断力がつくと思い前向きに考える。

東ロンドン(East London)のホワイトチャペルにあるブリックレーンが今ロンドンでかなり盛り上がっている場所で、雑貨屋、レストラン、ビンテージショップなどが多数あり、こちらも日曜日なのでマーケットが開催されていた。この辺りはベトナミーズレストランが多くベトナミーズ通りのようなものができており、イスラム教徒も多く、デザイナー、文化人など多種多様な人種が集まり混沌としている。とにかくかなりの人であった。夕飯はホームステイ先にてバジルのパスタとハム。それにビールとワインを注いでくれた。ロンドンの家庭料理はこれだけでいいのだろうかと思ってしまうほど野菜が一つもなかった。量が多くお腹に貯まれば良いような食事である。

ブリックレーンのサンデーマーケット
ホワイトチャペルギャラリー
イーストロンドンからソーホーへ歩いてみたが非常に距離があり後悔した。
ホームステイ先の夕食
出発前にたまたま発売された雑誌、ロンドン特集のBRUTUS。これを読みながら歩いた。

ロンドン留学記とベルリンからパリへの移動の記録 2 【2015.3.12-2015.3.28】

【3月12日】

初日はホームステイ先のチェックインが3.14(土)からなのでロンドン到着後始めの2日間はホテル滞在にした。

飛行機はANAだったので機内食は和食が選べて美味しかった。機内食で美味しいのはANAと台湾のChina Airline、エールフランス、ルフトハンザくらいだと思う。自分が食べた航空会社でそれ以外で美味しいと思えた機内食はあまりない。現地のヒースロー空港に到着したのが、午後3時だったのでパディントン駅の近くにあるホテルに着いたらすぐ二度目の夕食をすませ近くを散策し就寝。時差は9時間戻る。夕食は機内ですでに食べ終わっていたので、簡単に近くの小売店で買ったサンドイッチと水と非常食用にスナック菓子のオレオ。たったこれだけで£4.26=767円。(サンドイッチ=£1.99、水£1.19、オレオ£1.08)やはり物価の高さを感じる。ホテルの周辺はすでに桜が咲いており夜桜が綺麗であった。

パディントン駅、ホテル周辺
ANAの機内食

【3月13日】

この日の朝は、宿泊費がキャンペーンプライスだったこともあり朝食は含まれていなかったのだが、お願いしたところ無料でつけてくれることになった。メニューは食パンとゆで卵とフルーツとヨーグルト。それに牛乳と珈琲等。ホテルはagodaホテルのサイトで検索しキャンペーンプライスでUS$62/1泊。エレベーターなしだが眺めの良い小さな部屋である。

1年半ぶりのロンドン散策。パディントン駅からハイドパーク、バッキンガム宮殿まで歩き、衛兵交代式を見る。

ハイドパークでブラジルから観光で来たという男性に写真を頼まれ撮ってあげた後、紙幣のデザインの話しをされブラジルの紙幣を見せられた。日本に興味があり日本の紙幣はどのようなデザインか見たいとのことだったが、小額のポンド紙幣しか持っていないことを伝えると残念がられた。その後、日本の観光地やサッカー選手の話しをされ、どうしても日本の紙幣が見たいとせがまれたが断った。一度、財布の中味にあるポンド紙幣を見せたが、日本円ではないので帰っていった。何か怪しいと思い後で調べると有名な詐欺師であった。ここで日本紙幣を見せると、その中から何枚かマジックのように何枚か引き抜いてしまう。留学生の日本人もやられた人もいるそうだ。以前別の場所で似たような詐欺に引っかかったことがあるが、サッカー選手の名前が出てきた時に怪しいと思ったがまさにそれであった。実際に日本円は持ってはいたのだが、自分のそれは非常に取り出しにくいところに入れてある。財布やiPhoneも自分でも取り出しにくいほどでスリには警戒している。

Soho
チャイナタウン
C&R CAFE

その後、トラファルガー広場を通り、中心のピカデリーサーカス駅へ。この駅の近くに中華街があり、友人から安くて美味い店を何件か教えてもらっていたため、昼食はマレーシア料理のレストラン、C&R CAFE。人気メニューは海南チキンライス。飯が汁を吸っていてばくばく食べられて美味しい。学生食堂のような雰囲気。ジャスミンティーがついて£8.5。ロンドンにしては比較的安い。東京と同じか少し高い金額。駅の近くに日本の食材を扱っているスーパーを見つけ中を見ると調味料は色々と置いてあり味噌の種類も豊富。途中、喫茶店に寄り珈琲、£1.8。

大英博物館、コヴェントガーデンを回り、夕食は現地に数店舗あるスーパーのM&Sでサンドイッチを買いホテルで食べる。遅い時間に行ったので値引きされていて£1.35。通常は£2なのでロンドンのサンドイッチは大体400円と考えればいいだろう。

ピカデリーサーカス駅 
大型電光掲示板に映る日本企業で最後まで残ったTDK。この10日後の3月24日を最後にTDKも掲示板から撤退することとなった。
Sohoにある日本の料理食材専門店。中国、韓国の食材も取り揃えている。

ロンドン留学記とベルリンからパリへの移動の記録 1 【2015.3.12-2015.3.28】

【以前、と言ってももう今から5年前に書いたテキストになるが、ロンドンに語学留学をしたことがあり、短期の語学留学ではあったが非常に忘れられない記憶なので、またここにあげてみようと思う。ロンドンからドイツ・ベルリン、フランス・パリへと移動しており、これはヨーロッパ周遊としても快適でもう一度行ってみたい旅程の一つ。長い記録なので数回に分けてあげていこうと思う。】

何故ロンドンにしたのかという理由は、まずこの旅程は飛行機のマイレージが貯まっていた為、ヨーロッパ内の空港ならば他国へのアクセスが簡単ということもあり、どの国でも良いというあいまいな理由から始まっている。

 空席が出たのが、往路はイギリス・ロンドンで復路がフランス・パリからの帰国というチケットだった。因みに初め行きたい国はスペインだった。スペインはとにかく食が安価で美味しい。ロングステイをしながら食生活を見てくるということを体験してみたかった、これが最初の目的である。だが、1月に体調を崩したことがあるため、医療機関、治安ともに問題のないロンドンで滞在をすることにした。

 ロンドンといえば、1年半前に訪れたことがあり、とにかく物価が高く貧乏旅行で行ったつもりでも、食生活も買い物でも全てが高級な生活になってしまったという思い出がある。イギリスは戦争に負けたことのない国である。グリニッジ標準時や母国語の英語を持つ世界の覇権国家であり、世界の首都でもある。そしてポンド通貨の価値は世界の中でも高く、過去に$1=360円という時代があったが、調べるとその時に£1=1,000円だったそうだ。そんな物価の高い都市に滞在するということはどのようなことなのか、果たして通常の生活をすることは可能なのか、現地の人々の生活を観察しながら試してみたく思い、それを実行することにした。

 物価が高いと何度も書いてしまったが、ロンドンにはそれでも見るべきところが色々とある。ロンドンにはオーガニックブームがあり今ではそれが定着した感があり、街中のオーガニックレストランは賑わっている。和食のレストランも人気で讃岐うどん店やラーメン屋などはよく見かける。イギリスは飯が不味いという話は過去のもので、確かに他国に比べると不味いものも多々あるが、事前に調べれば美味しい店もフレンチからタイ、ベトナム、中華料理等、多数見つけることができる。

 今回は安い費用で、しかし健康的で美味しいものが食べられる生活を目的にしているので、まずは滞在先をどのようにするか考えた。ロンドンのホテルは高い。£1=180円ということは、東京の約2倍の物価である。何をするにしても2倍の金額がかかる。それにVATという消費税が20%。地下鉄の初乗りは£4.5で£1=180円の時期だと日本円で約810円である。オイスターカードという日本でいうスイカカードがあり、これを利用すると若干安くなり、初乗り£2.1で約380円。ロンドンはゾーンが1から6に分かれていて、ゾーンの移動が遠くなればこの金額も上がる。ロンドン滞在日数は10日間。これを全てホテル滞在にすると、滞在費と食費でかなりの金額になることが考えられた。ホテルは安くても街の中心のゾーン1,2で滞在するなら小さな部屋でもかなりの値段になる。食費も外食すれば定食程度でも一回で2,000円はする。

これをどうすればいいか考え、語学留学をホームステイでという手段を思いついた。一週間の留学をして、ホームステイにすれば食事も提供されキッチンもある。語学も勉強できるのであれば一石二鳥だ。ちなみにロンドンは英語が母国語ということもあり、意外と安い学校があるという話は聞いていた。何件か学校を問い合わせをした結果、ロンドン留学センターという現地の代理店の紹介で、Frances King校が午後のレッスンとホームステイ(1,2ゾーン)で1週間で総額£423ということでそこに入学することにした。食事がついて、英語の授業が受けられ、ホームステイなので24時間英語漬けになれることを考えれば高くはないだろう。そしてロンドンの家庭での食生活を垣間見ることができるのである。気分は高まった。

Frances King

https://www.francesking.com/

ロンドン留学センター

https://www.london-ryugaku.com/

映画「ノマドランド」

理想としては最高の生き方であり、実現しようとすれば様々な困難な場面と向き合うことになる。しかし、家から外の世界に出るということはそういうことであり、多くの事を見て体験することができる後者の方を僕は好む。やはりワイルドに生きたほうがいいし、みんなその方向へ向かっていってほしいという想いがあるから、こうしてテキストを書いている趣旨もある。特に歳を重ねていくにつれて自分に残された時間も限りがでてくる。そこで今までの自分や取り囲まれていた環境と決別しなければならないのだが、それは容易ではない。勇敢さが必要だ。

車上で生活するのか、路上か、それとも住居を転々とするのかは、手段こそ違うが移動しながら生活するということは同じだ。それは旅へと繋がり、それはつまるところノマドの生活だ。僕の場合はノマドという言葉は昔から頭の片隅にはあったが、特にそれに拘りはなく、ノマドの生活をしたいといった強い願望もないのだが、しかし転々と住まいや仕事を数年おきに変えているので非常に緩いノマド生活の様でもあった。その間、他の場所、特に海外へはちょくちょく出向いているので、地に足を固める気などはさらさらない。

この映画「ノマドランド」を見て、これに出演している人々の会話や言葉を聞いていると自分の考えと共通している意見が多々あった。そこには実際にノマドライフを送っている人を出演させているので、リアルにグレイトフルデッドみたいな老人が出てきたりする。今でこそノマドというライフスタイルに付加価値がついたようなものだが、言わば日雇いの浮浪者つまりホームレスとの違いはなんなのだろう?という疑問に対しては、「ホームレスでではなくハウスレス」という返答が返ってくる。

今現在のノマドというスタイルは現状の金融システムから離れ、今までの自身のキャリアと決別し、見栄を捨てて自分の見たいものや会いたい人を探し続けながら移動するということで、保守的な生活、つまり安定した収入、マイホームと家族、見た目を重んじる人からすれば、すこし変わっている人と思われてしまう。

映画ではキャンピングカーで移動している。これも非常に楽しそうな生活だ。この映画ではリーマンショックでのサブプライムローン問題で仕事や街を失った人を題材にしているのだが、今後こういったノマドの生活をする人は増えるだろう。パンデミック後の世界。仕事を失った人々、思考を変えた人々、テクノロジーの恩恵を受けた人々。数年後の未来、住居も車もシェアされていく時代。そんな自由な時代に一つの地点に留まる理由があるのだろうか。

主人公のファーンは逞しい。まだまだテクノロジーの進歩のない時代、歳も還暦を過ぎているにも関わらず、日雇いの季節労働者として転々と仕事を変え移動していく。肉体労働の仕事を手早く済ませ住まいでもあるキャンピングカーへと戻る。彼女のその力強い生きる源はどこから来るのだろうかと考えると、やはり素晴らしくドラマティックな風景や出会う人々との場面があるからなのだ。それは外の世界でしか巡り合えない。