九州一周二日目、鹿児島 知覧

朝起きると頭が重い。二日酔いでなんとか起き上がって大浴場に向かい桜島を眺めながら温泉に浸かり目を覚ます。
城山ホテルの朝食を食べに行くと朝食会場と大きな案内表示があり、朝から豚のしゃぶしゃぶが食べられる。
今日は鹿児島の南の方、知覧という地区へ向かう。車で約1時間、なのだが途中から山道になるので意外と遠く感じる。鹿児島の街は街路樹が南国の植物の様で台湾の街を思い出しながら車を走らせる。
向かった知覧では武家屋敷と特攻隊平和記念館が見ることができる。

知覧に到着してまずは武家屋敷を歩く。江戸時代に作られた庭園を見ながら歩くのだが、先々のホテルの予約をしないとならず、時々ベンチに座ってホテルに電話をする。旅行支援のキャンペーンが始まり電話が全く繋がらない。
諦めて武家屋敷を歩く。
昨晩のジャズBARでも客に話しかけられたが、武家屋敷でも「あぁー、あなたは。どうもどうも、今日はどうされたんですか」と声をかけられる。人違いと言ってるのだが引かない。一体誰と間違われてるのだろう(笑)

そしてこの後に訪れた特攻隊平和記念館。
結局はここが今回の旅でも一番印象の強い、強すぎるところになってしまった。
ほんの少しは感度の分かる人間だと自分では思うのだが、この場所は漂っている気が強すぎる。
大戦中に零戦で軍艦に特攻して亡くなった軍人、約1000人の若者の写真、遺書、遺品の実物が四方八方に掲げられている。それらに取り囲まれていると重すぎるくらいの気の圧力にやられてしまいそうになるのだが、後で調べてみると感受性が高い人は途中で出てしまうそうだ。

外を歩くと灯籠が幾本も建てられており、先程まで汗ばむ陽気だったのだが、ここに到着した時から気温が下がり少し冷んやりとするのは故人の熱気を冷ますように偲んでいるからだろうか。
ダークツーリズムという観光形態があるが負の遺産に興味があるならば、ここに来た方がいい。
良くも悪くも僕らが今生きているこの時代はこの人達が作った未来の線上にいる。

市内に戻りキャベツが載った鹿児島の豚骨拉麺を食べてホテルへ戻る。今日一日は知覧だけで終わった。ホテルのBARで軽く飲んでいたのだが、知覧の記念館で響いてた爆撃音と空襲警報が頭から離れない。

九州一周の旅 1日目

さてと、まずは期間は8泊9日間。
鹿児島を出発地点して長崎を目指す旅程になっている。


成田空港から鹿児島空港に午前中に到着してレンタカーで鹿児島市内へ。気温はやや高くて初秋のような気温。レンタカーの値段がやはり高くて9日間Vitzクラスで8万円強。まぁ、車がないと一周も横断もできないのでこれはしょうがない。

昼頃に鹿児島市内に到着したので昼食はやはり鹿児島名物が食べたく調べてみると近くに「あぢもり」というしゃぶしゃぶの有名店があった。入ってみると、とんかつ定食を薦められたのだが、しゃぶしゃぶのことを聞くとしょうしょうお待ちくださいませと待たされ、どうやら予約必須だったようだ。上の階の座敷に案内されて着物を着たスタッフが肉と具材を持ってきた。初の一人しゃぶしゃぶ高級店(笑)個室の座敷が立派でなんだか接待でもされてるようで料理もだし汁もかなり美味い。汗をかいてしまい、店を出て天文館という変わった名前の商店街を歩く。この天文館という商店街が街のへそのようだ。商店街は昔ながらの雰囲気で昭和感が残っていて人も沢山歩いているので好きな雰囲気だった。やはり地方都市はいい。

その後、薩摩藩、島津家の仙巌園を見学する。この庭園からの桜島の眺めがかなり良くて、屋敷の中も和洋中が混ざったような独特の内装と家具であった。そこから車を走らせ西郷隆盛像や御桜門のあたりを歩き、日も暮れてきたので有名な城山ホテルへチェックインする。

チェックインしてすぐに桜島を見ながらホテルの温泉に浸かり、夜は天文館を和牛を求めて彷徨い、やっと見つけた店で和牛ステーキ。フィレを切らしているというのでシャトーブリアンを薦められ、一口食べて「あの、すいません、感動しました」と料理人に伝えながら赤ワインを何杯も飲む。たしか五杯は飲んだ。そしてラムシンのステーキ100gをお代わりして店を出た。

すっかり酔って気持ち良くなったので帰り道に見つけたジャズBARに入ってマスターと他の客と閉店まで盛り上がり、エディット ピアフからユーミンまで色々聞かせてもらう。戦時中に聞くピアフのレコードはいつもとは違う。

すっかり遅くなってしまいタクシーで丘の上にある城山ホテルに戻る。城山ホテルは街に出るのに送迎バスを出してくれる昭和で少しハイソなホテル。そのまま倒れるようにベッドに入り込んだ。

ピアフの歌を聞いていた後に、以下の文章を見つけた。

人間は、幸せだから歌うのではない、歌うから幸せになるのだ
ウィリアム・ジェームス

九州一周の旅 ダークなまっぷる九州旅行支援ツーリズム (その壱イントロダクション)

仕事上、今年の夏休みを取らないとならないことになっていて、しかしコロナの感染者も増えてるのでいつにしようかと思っていたのだが、10月あたりいいんじゃないかと適当な日程を申請していたら、申請していた日がちょうど旅行支援のスタートする日に被ってしまい、支援されるおめでたい奴な旅になってしまった。

本当は混むので嫌な気もするのだが、日に8,000円も還元されるのならと思い、ちょっとプランを練るのを頑張ってみた。行先は九州あたりかと前々から考えてはいたのだが、同時に負の遺産を巡るダークツーリズムの入門書を読み、それの正反対のまっぷるの九州ガイドブックも並行して読んでいた。読んでる矢先、一週間前くらいにいきなり旅行支援のスタート日が発表されたもんだから、agodaサイトで予約してたホテルはどーなるんだ??と謎だらけの旅程で出発になった。この時、最初の鹿児島と黒川温泉宿は電話で直接予約に変更しており、他のホテルは仮予約になっていた。

ここで、「ダークなまっぷる九州旅行支援ツーリズム」にテーマが決まり成田空港から出発することになった。初日の九州は鹿児島から始めることにした。