憂鬱の推移「ブダペスト、ハンガリー1」

ベオグラード4日目、3回目の朝を迎えた。今日は朝8時の長距離バスでハンガリーのブダペストへ向かう。7時半にバスターミナルに到着したいので、早起きして身支度を済ませレセプションでチェックアウトの手続き、スタッフにタクシーを呼んでもらった。タクシーを待つ間、早々と朝食を食べ終えたが、6時ということで今朝ピアニストはいない。

ホテルの前にタクシーが来る予定が、遠くのメイン通りからクラクションが聞こえた。ヘイ!と声を上げているのでそちらへ向かう。タクシーに乗ると、若い男の運転手はブダペストまでバスでいくらするんだ?自分の兄がブダペストで働いている、などと話しをしてくる。ベオグラードの朝は渋滞するとホテルのスタッフから聞いていたが、たしかに混んでいて、近いはずのターミナルまで30分かかった。バスターミナルへ到着し、まずは入場券を払う仕組みになっているのだが、チケット売り場に行くと「入場料を払え!」とセルビアの言葉で何度も言われた。払いたいが入場料を払う窓口は他の場所にあり、勝手が分からずなかなか入場できなかった。仕組みも言葉も理解できない。なんとかチケットを買えて中に入るが、どのバスに乗ればいいのか分からなくスタッフに尋ねると、同じバスに乗る若い青年が同じ行先だから一緒に行こうと連れて行ってくれた。売店で水を買いバスに乗るると結構な人数が乗っている。出発は8時でブダペストには14時に到着の予定だ。バス内にトイレがあり、車内も綺麗でリクライニングもあり、チケットは片道約7000円。

バスが動き出し、ベオグラードの街を離れていく。ドナウ川の橋を渡るが、またブダペストでもドナウ川に出会うのだろう。街を過ぎるとそこからノビサドという小さな町で停車し、また何人か乗り込む。そのあとは国境までしばらく田園の中を走っていく。車内ではブダペストのことを色々と調べていた。出発前にベオグラードまでは調べたがブダペストについてはほとんど調べていなかった。まぁ地小さな町なのでガイドブックのマップを見れば大体は予想できるのだが。

出発の10日前、母親が転倒して怪我をした。その為、緊急で入院となり、病院へ駆けつけ医者から説明をされた。血液検査から睡眠薬、ベンソジアゼピン中毒と診断され、意識が朦朧なり、ふらつき転倒したとのことだった。今、ベンゾジアゼピンを解毒させているので1週間は入院することになった。その手続きの為、出発していいものかどうか、という状況であった。しかし、ただの捻挫で快方に向かい姉も来てくれたので、後は病院で療養するのみとなった。それでやっと出発することができたのだが、意気揚々ではなく慌てて出てきたのは否めない。その為、旅の下調べと準備に手が回らなかくなってしまっていた。

バスは国境に到着した。全員バスから降ろされ、パスポートコントロールへ並ぶ。バスはスムーズに国境に入ったが、普通の乗用車はかなりの列で並んでいる。30分から45分くらいだろうか、やっと全員のチェックが終わる。待っている間はただ日向ぼっこをしているしかなかった。

そしてまたバスに乗り込み田園の中を向かい、13時頃に休憩所に降りる。さすがに長時間バスに座っていたので身体がきつい。飛行機の移動もできるのだが久しぶりの海外だったのでバス移動を選んでしまった。よく考えたらさすがに7時間の車移動はかなりの長さだ。中はフードコートやカフェがあり、コーヒーを買う。外のテーブルに座りゆっくりしていたがなんとも清々しい天気だ。昼食はブダペストで食べようと思っていたのだが、ここからまだ予定より時間はかかってしまった。

バスに乗り込みブダペストへ向かうと、窓からの眺めは田園から街へと変わっていく。国境を超えると建物もがらっと変わっていき、今までのベオグラードの錆びついたような重々しい建物が、西側の、ヨーロッパの建物に様変わりした。

到着予定から1時間遅れ、15時過ぎにブダペストのバスターミナルに到着した。

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