憂鬱の推移「ブダペスト、ハンガリー11/最終章」

ブダペスト最終日となった。テレビでは相変わらずイスラエルのガザ侵攻のニュースが報道されている。各地ではデモが行われており、ロンドン、パリ、ニューヨークではかなりのデモ隊が集まっているようだが、ここブダペストは何事もないのが幸いだった。今日の15時のフライトで帰国するので、街を昼過ぎには出ないとならない。行ってみたいところが一つあり、それはユダヤ人のシナゴーグ。こんな状況なので、あまり安全とは言えないがまずは近くまで行ってみることにした。

ホテルをチェックアウトして荷物だけ預かってもらう。朝食はシナゴーグに向かう途中にあるだろうと思って向かうと、シナゴーグの向かいにカフェがあったのでそこへ入る。カフェはインテリアに囲まれていて北欧カフェとでもいうような店。ここでコーヒーとトーストと目玉焼き、サラダ添えを食べる。

シナゴーグへ行くと想像以上に観光客が多く入口に並んでいた。入場料は6000円となかなかの値段であった。中に入るとキッパというユダヤ人が頭に被るものが紙製でおいてあり、それを頭にクリップで取り付ける。教会の中に入ると、何か国かの言語でスタッフがそれぞれ解説をしていた。外へ出ると庭があり、博物館が設置されている。中にはトーラーやヘブライ語で書かれた食器だろうか、グラスなども置いてある。ガザ地区と揉めている最中にここへ来るということも何か意味深であった。他にいた沢山の観光客たちの表情も少し曇りがちに見える。帰り際に何か買おうと土産売り場でシナゴーグの絵の描かれたマグネットを自分に買った。ブダペストの最後の場所がユダヤ教のシナゴーグということもこの後の旅へ何か続きがあるような感じがある。この続きとこれからの世界はどうなっていくのだろう。

ホテルへ戻り手荷物を返してもらい、空港行のバス停へ向かう。バス停で切符を買おうとすると前にいた男性が切符が買えないと言ってきて、金をここに入れたらどうか言うと、金が足りないと言う。それならば目の前にあったインフォメーションへ行けと伝えると、うろうろと歩いて行った。あとで気付いたがあれも物乞いの一人だったのだろうか。面倒なのでついついチケット代の金を渡してしまいそうだが。

空港へ着きチェックインして、土産売り場へ行く。職場などへ土産を買わないとならないと、ジェルボーのお菓子が有名なのでそれを買ったがユーロ高の為、結構な額になる。しかしコロナが過ぎて初の海外でもあるので、身近な人へは報告がてら買うことでいい。

買い物を終え、何件もメッセージを送ってきていた姉に電話をかけて母親の状況を聞く。特に問題もなく、今後の予定を教えてもらい、数日後に会うことになった。自分も出発前の状態よりは気持ちは晴れていたので、臆することなくこなしていけるだろう。電話を切り昼食を食べていなかったから、カフェに行くとグヤーシュがあったのでそれとビールを注文し、空港の外を眺めながらビールを飲んでいた。

10日前までの自分とは違うことが自分でもよく分かるのは旅のせいであり、つまりは環境による心の変化なのだと思う。環境は人を変える。随分と歩いたので身体の疲れはあったが心の疲れというものはなくなっていた。今はまだ少しぼんやりしているが、日本へ帰ればもっと良く分かるだろう。窓の外は曇り空で少し酔っているせいか霞んで見えていた。

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