緊急事態下での資格受験

資格試験の受験のために久しぶりに緊急事態宣言中の都内へ出てみると、週末の朝だったせいもあるかもしれないが、街中の人はまばらであった。東京モノレールで会場まで向かうと途中ホームに設置してあったフライトの掲示板はキャンセル表示だらけで、おぉぉヤバい感じだなと不穏な中、試験を受ける。

試験は某医療資格(管〇栄〇士)の試験である。病院では何人かは持っている必要がある必須試験だ。しかし、この資格の受験資格を得るのが物凄い大変で(もはや試験内容よりもだ)、一般の社会人からこの資格を目指すとなると、最低6年もかかる。まず、専門学校に2年(4大卒であれば卒業と同時に受験可能)、就職して実務経験3年。そこから試験日まで1年の計6年。おそろしいほどの手間と時間だ。6年間といえば小学1年生が6年生になって学校を卒業するくらいのものだ、物凄いだろう。そんな成長と成長の毎日の6年間を想像すると、自分の中年の場合のこの6年間は小学生のそれに比べてそれほど進化はない。あったといえばなかなか予約のとれない香港のレストランの龍景軒に行くときの自分の名前はウィリアムになっていて、今後もこのレストランに行くときはウィリアムだったり、別の名前が自分に付くのだろうという進化くらいだ。

話は戻って、試験会場にいくとそこにいる受験者は9割方は女子だ。20代から30代くらいまでが大半で男はややいるが非常に少ない、いても20代の男子だ。そこに自分が受験をしに行くとなると、「んんっっ?」「なんかいる」と目が合う女子が多い、ような気がしてならない、気のせいかもしれないが、見られているような気がする。いや、はっきりと目が合っていた。確かにこんなおじさんで受験している奴は自分くらいなもので(前に書いた通り一般の人が受験するのは非常に難しい)よくここに入れたな的な、雰囲気としては女性専用車両に入ったようなものだからしょうがない。この人は一体、何回受験しているのだろう??きっと数十回受験に失敗しているのだろうなど思われているのであろうか、こうなるともはや試験会場の元老院だ。自分の場合は歳の割に少し若く見えるのもあって多少誤魔化せるかもしれないが、はっきりいって他の受験生の親みたいなものだ。ちなみに今回は勉強をサボっており思い出受験である。思い出したくはないが。

帰りに新橋で降りて飲み屋周辺を歩くと人は少なく、しかも20時には閉まってしまう。店は空いていて、緊急事態宣言解除後よりも安全そうではある。しかし、これが大恐慌前の風景になるのかどうか分からないが、東京モノレールでフライトのキャンセルだらけの羽田空港前で降りて、女子ばかりの会場で試験を受けて、緊急事態の街を観察してと、まさに世紀末的な1日でもあって、なんだか調子が良くなってきてしまった。

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