10月中旬を過ぎて秋のはずなのが今年は夏が終わらず気温も高く9月の陽気の中、セルビアのベオグラードへ向かうこととなった。旅へ向かうとなれば本来、気持ちも高揚しているはずなのだが、それは憂鬱な気持ちでの出発となった。
今年はいい歳になった親が施設に入るかどうか検討してはいたのだが、ちょうどこの時に体調を壊してしまい緊急で入院となった。今回の旅は母親が入院してすぐの出発になってしまい非常に慌ただしく、そして疲れのせいか自分の体調もあまり優れない状態であった。疲労と背中の痛みがあったため出発の3日前に整体で施術をしてもらい、コンディションを整えながら、なんとか向かえそうな状態にした。しかし、到着してから大丈夫なのだろうか、などと不安も感じたがここまでくれば行くしかないし、悪いことが起こるかどうかなんて分からないと腹に決め、仕事を夕方に終えて空港へ向かい夜22:00発のフライトに乗り込んだ。時間がなく旅先の下調べはあまりできてはいない。
今回なぜセルビアにしたのかというと、このインフレと円安、そしてオーバーツーリズムの問題を考えると、行くべきではない国が多数出てきた。スペイン、ギリシャ、クロアチアなどは観光客が押し寄せてきており、観光場所にも規制がかかっている。そして夏場は暑くて観光どころではない。
3年ぶりなので、とにかくヨーロッパへ行きたかった。理由はただそれだけなのだが、特にロンドン。ロンドンは2度、一度は短期留学もしていた為、ロンドンに戻り気持ちを整理したかった。しかし、このインフレと円安の状態で到着してからの滞在費を考えると諦めざるをえなかった。ホテルだけでも1泊3万円前後からなのだ。楽しめるはずがない。そのような状態でヨーロッパで気軽に滞在できる場所はないのだろうかと調べていると、アルバニアという国が候補に挙がってきた。
そう、バルカン半島にある国々や東ヨーロッパは物価は安い。以前行った時もクロアチアやチェコなど物価がかなり安かったという記憶がある。そこから色々なプランを考え、
ギリシャからアルバニア→ボスニアヘルツェゴビア→セルビア→ブルガリア→トルコ。
こういったプランを考えたのだが、10日間しかないのだ、さすがに無理だ。アルバニアやボスニアヘルツェゴビナに行こうとすると交通の便が多くはないようなので、今回残念ながら見送り、足早に移動する旅は控えてじっくりと1,2か国に滞在することに決めた。
バルカン半島には昔、ユーゴスラビアという国があった。独立戦争による内戦で国は解体されてしまったが、そのユーゴスラビアの首都がセルビアのベオグラードなのである。そして隣国にあるハンガリー。第一次大戦はオーストリア、ハンガリー帝国の皇太子がサラエボで撃たれたことから始まったとされるが、セルビアの豚肉の関税問題でオーストリア、ハンガリー帝国と揉めたことも一因とも書いてあった。EUに所属していないセルビアと対照的なハンガリー。その二か国を見て回ることにした。
友人にセルビアのベオグラードってどうかな?とメールすると、「昔行きましたよ。街は退廃感MAXですね!(笑)」と返ってきた。ベオグラード行きはこの退廃感という言葉を聞いたことによって決めたようなものだ。